雑記

ものを書く練習。学びをまとめる場。

折り紙

はじめに

皆さんは子供のころに折り紙に勤しんだことはあるでしょうか。
私は小学生のころにやった記憶がおぼろげにあるようなないような...

この折り紙、日本で昔から非常に多くの人に親しまれてきた文化ですが、 真剣に向き合ってみると非常に奥が深く、惹き込まれてしまいました。

そこで、私が感じた折り紙の魅力を皆さんにお伝えします!

いくら折り方を学んだとしても実際折ってみないと分からない部分も多いので、 ひとつテーマを設けて作品を作成していく過程とともに、そこで用いられている技術や考え方を説明していきたいと思います。

*本記事では折り紙の展開図がいくつか出てきますが、基本的に赤線が山折り・青線が谷折りを表しています。

この記事を作成するにあたり、大部分で三谷純先生の折り紙研究ノートを参考にさせていただきました。
折り紙に魅力を感じた方は、三谷先生のHP1からより深く学ばれると良いと思います!

今回の目標

折り紙にも色々芸術作品が存在すると思いますが、素人が挑戦するものはそこまで高度ではなさそうな物が良いな、ということで

照明のカバー作り

に挑戦していきたいと思います。 折り紙単体で物を作るのではなく日用品とコラボさせることで、具体的に作りたいものが見えてくるのでは、というアプローチです。

ただ、自分の部屋のメインの電灯のカバーを折り紙で作るのはちょっと大きすぎる気が...
自信がなかったので今回はこちらのデスクライトのカバーを作っていきます。

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吉村パターン

まず1つめでは吉村パターンをそのまま利用してみました。

吉村パターンとは、円筒をつぶしたときに現れるパターンと同じ構造を持ったパターンです。
具体的に言うと、某氷が結ばれている缶チューハイの表面にある柄のやつです。 (ダイヤカット缶)

展開図は下の図のように、これを丸めた立体がその次の図のようになります。

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非常にシンプルながら、私のような折り紙素人にはこれですら新鮮な感じがします。 というのも私は折り紙と聞くと、平らに折って平坦に何かの形をつくるものをイメージするし、立体的なものといっても「四つ折りにしたものを三角に開く」くらいしか知らなかったからです。

各正方形の四辺が凸に、曲がる方の対角線が凹になることで、外観は円筒のままに各カーブを角張ったものにさせられる。 このようなアイディアが、しかもこんなにシンプルな展開図で表されるのは非常に面白いですね!

さて、ではこれをデスクライトにはめてみるとどうなるでしょうか。

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とりあえず、補助線が非常にダサいですね...
あとは、立体的過ぎてこのタイプのライトカバーには合わないような気がします。

次、いきましょう。

蛇腹折り

続いて、皆さんもご存じだとは思いますが、蛇腹折りに挑戦します。
といっても蛇腹折りとはジグザクに折るだけなので、サクッと作ってカバーとして使ってみたいと思います。

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まあ、そうなりますよね、って感じです。
敗因は、筒状でないので垂れ下がって蛇腹でなくなってしまうことでしょう。

であれば蛇腹自体を折ってしまえば良いのでは。
ということで、用意しましたのはこちら。

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まあ単に蛇腹を折り返しただけなんですが。

ただ、この展開図を見ていただくと非常に面白い性質が発見できます。

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各頂点に着目すると、そこから伸びている辺で山折りの数が3つ・谷折りの数が1つと数が異なります。
吉村パターンの展開図を見てもらうと、同じく各頂点で山折り・谷折りの数が異なりますよね。
これはどうして発生するのでしょうか。

これは私の考察なので誤りがあれば教えていただきたいのですが、私はこの理由を「面を頂点にしているから」だと考えました。
例えば皆さん、手ごろな紙を四つ折りにしてから開いてみてください。
その真ん中の折れ線がクロスしている点を見ると、山折り・谷折りの数が異なりませんか?
これを拡張すると、一枚の紙の四辺を含まない領域内の任意の点を「折る」という動作のみで頂点にしようとすると、開いたときに必ず山折りと谷折りの数の差が2になるという性質があると考えられます。
面が頂点になった後は、その点は頂点であるので面という属性から外れるため、それ以上は増えないのでは、と。

これをさらに掘り下げて、今度はn枚の重なりがある状態での考察などを進めていくのも楽しそうですが、これ以上は幾何学の素人が進むべき領域ではないような気もするので、

閑話休題。上の考察が気になった人は ”前川定理” を調べてみるといいんじゃないでしょうか。

では、実際に蛇腹を折り返したものをライトカバーにしてみましょう。
こんな感じになりました。

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意外といい感じかも...? 少なくとも私は気に入りました。

平折り(ねじり折り)

最後に、自分の全く知らない技術としてねじり折りに挑戦しました。
ねじり折りは平折りの一種で、言葉通り紙をねじるように折りたたむ折り方の一種です。

まずはオーソドックスな、正方形を基本としたねじり折りを紹介します。
といっても私が挑戦してみて感じたのは、これこそ自分で折ってみないとわからないな、と。

というわけで三谷先生の折り紙研究ノートの図を引用させていただいて、これを見て折ってみてください。
なぜかちょっと気持ちいいと思います。

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作った方は、ねじれた正方形が後ろに来るようひっくり返して見てください。
4つの長方形が重なり合っているようになってますよね。
これは、はじめに紙の真ん中に書いた正方形が奇麗に真ん中にあるから裏面も中心が揃うそうです。

では、真ん中の正方形を少し傾けて折るとどうなるのでしょうか?
また、一枚の紙で複数のねじり折りを行いたい場合はどのようにするのでしょうか?

詳細は三谷先生の折り紙研究ノートに分かりやすく書かれているのでそちらをお読みください。

というわけで、これらを組み合わせて実際に折ったものがこちらです。

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本当に何かの模様でありそうなパターンが折れてしまいました...感動。
一応展開図も載せておくと、

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このレベルで不器用な私にはとてつもなくきつかったです。(約四時間の格闘)


で、本題です。
こんなに頑張って作った模様ですが、ライトカバーとして合わなければなんの意味もない...!!

気合を入れて(?)ライトにつけてみると

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良い!!
もともとの模様もきれいですが、光にあてると陰影が出てより奇麗になりますね...

努力が報われて嬉しいです。

まとめ

紙って良いですね。

普段は紙使いを全くやめてしまった自分ですが、こうして紙に直接触れ1つの作品を作る過程を通じて、紙でのものづくりに芽生えてしまいそうな気がしています。

さて、この記事をなんの迷いか読んで、紙でのものづくりに興味がわいた方はぜひ、さまざまな折り紙に挑戦して自分の制作を楽しんでください!

あぁ、片づけるのが惜しいなぁ...


おまけ:コンピュータ折り紙

実はねじり折りに挑戦した後、コンピュータ折り紙を利用してもう1作品挑戦する予定でしたが、ソフトウェア対応OSを所持しておらず断念...
代わりに紹介だけしておきます。

私が利用しようとしていたのはORI-REVOというソフトウェアです。
これまた三谷先生が開発されたソフトウェアです。

このソフトウェアでは回転体の輪郭線を入力することで、回転により作成できる立体とその展開図を表示してくれます。
私も利用できていないので詳細は分かりませんが、デモ動画を見る限りでは様々なパターンの立体が作成できるようです。(デモ動画もORI-REVOのHPにあります)
また、展開図はdxfやpdfで保存できるため、そのまま印刷することも、少しアレンジをしてから印刷することもできます。

非営利目的であれば個人使用は自由とおっしゃっているので、興味ある方で利用できる方は一度チェックしてみると良いのではないでしょうか。